【ヒト図鑑】No.1 たどつ本町筋を愛する会「泉川昌弘さん」
なぜ本町筋を残さなければならないのか。
未来へこの町並みを残すことの意味を熱く語る。
合田邸と出会い歴史的町並み保存を決意
—-現在、泉川さんが多度津町で行っている活動について教えてください。
生まれ育った「本町筋(本通地区)」を保存し、地域の資源として未来へ繋げる活動を行っています。
本町筋を重要伝統的建造物群保存地区への選定を目指す「本町筋を愛する会」や、四国の近代化のに寄与したとも言える豪商の邸宅である合田邸を保存・活用を促進する「合田邸ファンクラブ」では代表を務めています。
—-「合田邸」について、改めて教えていただけますか?
合田邸は明治時代に四国の経済を牽引したともいわれる豪商・多度津七福神の一人である合田房太郎氏の邸宅です。多度津七福神の邸宅の中で唯一現存している建物で、貴重な調度品も数多く残されており、建築物としてだけでなく、文化面でも歴史的価値がある邸宅です。
私自身、かねてより「まちあるきの会」などの活動で、歴史ある町並みによる町おこしを模索していたことや、幼馴染が合田邸の持ち主であったこもあり、平成 年に「合田邸ファンクラブ」を設立し、町の資源である貴重な建物を保存し、その魅力を広く伝え、まちづくりの一助になることを目指しています。合田邸は今後の歴史的まちづくりの中心になるべき建築物だと確信しています。
目指すは重要伝統的建造物群保存地区
—-泉川さんたちの活動は、今後どうのような方向で進んでいきますか?
合田邸は、令和3年に多度津町の有形文化財に指定されました。次なる目標は、合田邸があり、私が生まれ育った本町筋(本通地区)が国の「重要伝統的建造物群保存地区」いわゆる「重伝建」に選定を受けることです。この本町筋一帯には約百三十軒の歴史的建造物が存在しており、「本町筋を愛する会」が多度津町とスクラムを組んで、令和7年度中の選定を目指しています。
—-「重伝建」選定後の本町筋はどのような町並みを目指していますか?
重伝建に選定されると、国の補助を受けながら、建物を修繕し、歴史的な町並みの保存と整備を行います。こんぴら参りの起点として賑わっていたかつての多度津の姿を取り戻したいと考えています。とはいえ、多度津に大きな観光地があるわけでもないので、周辺の観光地と連携し集客ができるのが一番良いのではないでしょうか。例えば、古民家を活用した宿泊施設をたくさん整備し、交通の便を活かした宿場町として売り出すのも良いかもしれません。
—-合田邸や本町筋の建造物を保全・維持していくためには、たくさんの費用がかかり、反対する意見もありますが…。
本町筋が重伝建に選定された場合、「歴史まちづくり法」の認定を目指すことができ、認定されれば、国の支援の下、本町筋だけではなく、多度津町全体で歴史・文化を活かしたまちづくりを進めることが可能になります。それも含め今後どのようなまちづくりを目指し、どのような効果が生まれるかを、町民のみなさんに示し、理解を求める必要があるのではと考えております。
その他にも、町民の皆さんに愛着を持ってもらうために、住民の皆さんの協力の下、「第4土曜は!本町デー」というイベントを毎月開催しています。スタートしてまだ1年ですが、出店者の中から本町筋内の旧店舗を活用して、新たな店舗をオープンさせる動きもあり、ハード面の整備だけではなく、活用するためのソフト作りとマッチングもできる組織作りを開始しております。
—-泉川さん、最後に皆さんに伝えたいことはありますか?
合田邸をランドマークとした重伝建の選定を目指しています。選定されれば多度津町に多くの人が訪れ、経済効果も見込めるはずです。将来、多度津が生き残るために不可欠な活動だと思っておりますので、どうぞご理解の上、ご協力ください!
多度津の未来のために、先人の財産を活かしましょう。
【編集部のつぶやき】 「重伝建に選定されることしか多度津再生の道は無い!みんなで力合わせていきたい」と力強く語っている姿が印象的でした。町並み保存に対して様々な意見がある中、具体的な活用プランやなぜ保存する必要があるのかを説明し、双方で議論していくことが今後も必要であると感じました。町民のみなさんにとって良い方向に向かって欲しいですね! |