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【ヒト図鑑】No.5 またたびの会・地域猫活動家「矢野靖子さん」

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「多度津町内の野良猫をゼロにしたいんです」
そう語るのは、多度津町で地域猫活動に取り組む「またたびの会」の矢野靖子さん。野良猫の問題に直面したとき、「誰かがやってくれるのを待つ」のではなく、「自分が動く」と決め、町の景色を少しずつ変え始めています。

実は近年、日本で保健所などに引き取られる猫の数が大幅に減少しております。あまり知られていませんが、その大きな要因は「地域猫活動」及び「TNR活動」にあると言われています。「Trap-Neuter-Return」の頭文字をとったTNR活動とは、野良猫を捕獲し、不妊手術を施し、元の場所へ戻すもので、地域猫活動の基本の活動となります。ある時、私は野良猫の惨状を知り、知人に誘われるがままに、地域猫活動に本格的に取り組むようになりました。
地域猫活動とは、地域に生息する飼い主のいない猫(野良猫)を、地域住民が主体となって管理することで、猫の数を減らしたり、トラブルを減らすことを目的とした活動です。猫の繁殖力は強く、出産数も多いため、このまま野放しにしていると、トラブルも増え続けます。だから今、地域猫活動・TNR活動が必要なのです。
私たちも、すでに 匹の子猫を保護し、 匹以上の親猫にTNRを実施しましたが、まだまだ足りていません。地域住民と猫の共生を目指し、もっと活動の幅を広げていきたいと思っています。

しかしながら、まだまだ理解されていないことも多いのが実情です。地域猫活動に対しては反対の声もあり、自問自答することもあります。特に多いのが「どうして野良猫を元に戻すの?」といった声。子猫は里親に出すこともできますが、親の野良猫は、そもそも警戒心が強いことに加え、寄生虫や伝染病のリスクもあるので、里親に出すことが困難です。また、猫はテリトリーを守ります。そのため、TNRした猫を元に戻さない場合、空いたスペースに、他の地域から野良猫がやって来くるので、結局また野良猫が増えることになるのです。すなわち、TNRされた猫を元に戻すことによって、他の地域からの猫の流入を防ぎ、不妊去勢手術をしているので、それ以上に増えることも防いでいるのです。反対する住民の方々には、このような説明を丁寧に繰り返し、忌避剤の配布や餌やりマナーの徹底といった対策も検討し、ご理解を深めてもらう努力を続けるしかないと思っています。

また、野良猫問題は空き家問題とも無関係ではありません。猫は静かな空き家を「安全な出産場所」として選ぶことが多く、空き家が増えるということは、野良猫が増えることと、密接につながっています。有効な空き家対策を行うことが、野良猫対策にもなるので、行政や民間業者の空き家対策には、注目し期待しています。あと、やってみてわかったのが、地域猫活動には、想像以上の費用がかかること。保護された子猫たちにはミルクが必要で、親猫には医療費もかかります。譲渡の際には血液検査や便検査、ワクチン接種も必要です。しかしながら、行政からの支援は不妊手術費と餌代に限られており、それ以外はすべて自己負担なのです。

「だって好きでやってるんでしょ?それくらい当たり前やん」そんな声を耳にすることもありますが、この活動は地域のみんなで、命の尊さを感じながら、野良猫に関するトラブルを減らす活動ですので、他人事ではなく、社会全体の課題として協力していただければありがたいです。今後は支援の輪を広げるための基金設立や募金活動にも力を入れていく予定です。キャッシュレス決済による寄付や、物資支援、不要ケージの提供や「ミルクボランティア」の募集も始まっています。こういった活動はSNSでも発信しています。その影響もあってか、少しずつではありますが、応援の声も届くようになりました。ぜひご覧になってください。した地域猫は耳をカットして、他の猫と区別できるようにしていますので、見つけたら可愛がってあげてください。ルールを守って餌をあげても構いません。地域みんなで見守っていくことが、この活動の効果も高めてくれるのです。
この活動は、私一人の力ではできないことばかり。たくさんの町の人たちと一緒に取り組むことが必要です。「猫好き」じゃなくても大丈夫です。少しでも気になると思った人は、どうか声をかけてください。それが、猫と人が共に生きる町づくりの一歩になるのです。

【編集部のつぶやき】
地域猫の活動はまだまだ始まったばかり。保護した猫に囲まれた矢野さんの笑顔は、猫への深い愛を感じる笑顔でした。この活動は地域の未来へとつながる活動です。町全体が少しずつ優しくなることで、トラブルが減り、地域の未来もきっと、あたたかいものになるはずです。。

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